4月28日にビッグサイトで開催されたゲームマーケット2013春でオインクゲームズさんから発売された「小早川」という新作ゲーム。これがまあ、後で詳しく書きますけど、痺れるゲームで、会場では午前中で売り切れてしまいました。
で、会場に行ったけど手に入らなかった、とか、遊んで見たかったけど触れなかった、とか、そもそもゲームマーケットに行けなかった、という人の中に、1回遊んでみたいなあ、という方がいるんじゃないかと思います。
そんな折に、今、高円寺のゲームショップ「すごろくや」さんとタッグを組んで、ボードゲームの貸出をして、24時間いつでもボードゲームが遊べるネットカフェというのを都内2店舗で展開しております。で、ここでこの「小早川」を明日、5月1日からレンタルのラインナップに加えます! という告知でございます。
自遊空間BIGBOX高田馬場店と、ワイプ立川北口駅前店にて、貸し出します。こちらの2店舗では、座敷の個室や、ソファー席などで店内貸出のボードゲーム、あるいは自分で持ち込んだボードゲームが遊べますので、「小早川」を遊んでみたい、という方はぜひ行ってみてください。ただ、どのボードゲームも貸出数が1つなので、運悪く貸出中の場合だけ、ご容赦いただくよう、あらかじめお願いします。その場合は、他のゲームを楽しみながらのんびり待っていただければ、嬉しい限りでございます。
お店の詳しい情報は以下のリンク先でご覧ください。
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で、売り切れてしまっているわけですから、「小早川」を遊んでいない人も多いと思いますので、ここから先は「小早川」のプレイレポートをしてみたいと思います。ちょっと長くなってしまって読むのが大変なんですが、その分かなりじっくりとゲームの醍醐味をご紹介しますので、ぜひ、読んでみてくださいませ。
小早川のルール
まず、小早川のルールを説明します。あらかじめ言っておきますが、小早川はルールを聞いても、そんなに面白そうじゃないです。シンプル過ぎて、面白くなるのかイメージできない方も多いんじゃないかと思います。でも、ルールを説明しないとその先がお話できないので、とりあえずルールをお話します。
小早川は、1~15までの数字がかかれた15枚のカードと、たくさんのコイン、これだけで構成されたゲームです。人数は3人~6人、時間はワンゲーム15分ほどで終わります。サクサクッと遊べるのも良いところですね。
基本的には、コインを賭けて、カードの数字の大きさを競います。最終的に、たくさんのコインを獲得した人が勝利となります、
まず、遊ぶ前の準備として、コインを全員に4枚ずつ配ります。また、場に、誰のものでもないコインを8枚おいておきます。
それから全てのカードをよくシャッフルして、各プレイヤーに1枚ずつ配ります。これは他の人に見せてはいけません。最後に残ったカードを山札とし、山札から1枚カードをめくって表にして場に置けば準備完了。最後に場に出したカードを「小早川」と呼びます。なんで「小早川」と呼ぶかはゲームのルールとは関係ないので後で説明しますね。
文章にすると長ったらしいんですが、つまり上の図のようにするということです。
で、一番年下の人から手番を始めます。やれることは以下の2つのうちのどちらか1つだけです。
1、山札からカードをめくって、数字を確認せずに表にして場に出し、小早川を上書きする。
2、山札からカードをめくって、自分だけその数字を確認。手札のカードか、今引いたカードか、どちらか要らない方を表にして自分の前に捨てる。
これだけです。この2つのどちらかをそれぞれのプレイヤーが選択して、時計回りに全員が1回ずつ行います。
全員がこの手順を行ったら、次は、また1人ずつ時計回りに、勝負に参加するかしないかを決めます。勝てそうだなと思ったら、コインを1枚賭けて勝負に参加。負けそうだと思ったらパスすることができます。これも1週して、全員が勝負への参加かパスを決定したら、いよいよ勝負です。
勝負に参加する人は「せーの!」で手札を表にします。この時、もっとも数字の大きい人が勝ちなんですが、小早川が一番小さい数字の人に味方をします。
例えば、小早川が10で、
8を出した人と、12を出した人と、15を出した人がいたら、
10(小早川)+8=18 対 12 対 15
となり、8を出した人の勝ちとなります。
勝った人はみんなが賭けたコインを総取り&誰のものでもない場のコインを1枚手に入れることができます。
次は、勝った人からまた手番を開始します。
場のコインが最後の2枚になるまでこれを繰り返し、最後は賭けるコインも2枚、場のコインからも2枚で、いつもの倍のレートで勝負を行い、それで終了。1番たくさんコインを持っていた人の勝利となります。
要は、1回ずつ手札か小早川を変えるチャンスがあって、最後に数字の大きいカードを持っていた人が勝つけど、数字の1番少ない人に小早川が味方するからそれを考慮してねと、3行で書くとそういうことです。
さあ、これを実際プレイするとどういう戦略が生まれるのか、具体的にお話してみたいと思います。
4人でプレイした、ある場面
4人で小早川を遊んだ具体的な場面で説明したいと思います。
遊んでいるのは、Aさん、Bさん、Cさん、そして僕。
場にある小早川の数字は「2」でスタート
Aさんは、手札をひきました、少し悩んでから「13」を捨てました。
Bさんは、迷わず小早川を上書きし、小早川が「6」に。
Cさんは、手札をひきました。相当悩んで、「12」を捨てました。
僕の手番が回ってきました。手札は「7」です。
小早川を上書きするか、手札を選ぶか
そしてここで僕の選択をどうするかです。小早川を上書きするか、手札をひくか、もちろん運が多分に絡んできますが、考える手がかりはわりとあります。
まず、カードのおさらい。カードは1~15までの数字が入った、15枚。同じ数字のカードは1枚もありません。これ、とても重要です。
小早川は6で手札は7。この組み合わせは実はわりといい数字です。小早川を味方にできた場合、6と7を足して13。場には既に13のカードが出てますから、残りで怖いのは14と15を誰かに出された時だけです。
自分より低い数字で小早川を味方につけて勝負をかけてくる人がいる可能性について考えてみると、手札が7で小早川に6が既に出てしまっていますから、それより下となると5。
手札が5では小早川とあわせても11ですから、恐らく勝負をパスするでしょう。どうやら、これ以上低い数字については警戒する必要がなさそうです。
ここで1番まずい状況を考えてみるなら、小早川を下手に上書きして、1とか3とかの低い数字になることです。そうすると、手札の7では勝負ができそうもありません。しかし、場には低い数字があまり出てませんから、次のカードが低い数字である可能性はわりと高めかもしれません。
というわけで、最低でも現状維持できるということで、手札をひく方を選択します。
相手の手を読む
カードをめくったら、8でした。ここは迷わず8を選択して、7を捨てます。
そしていよいよ、勝負を賭けるか、パスするかを決定します。この決断が非常に重要です。状況は、自分以外の人は全てコインを賭けてきました。
さあ、ここから一気に読みに入りますよ。賭けるか、パスするかの2択ですが、考えられることはものすごくいっぱいあります。ついてきてくださいね。
まず、みんなが手札に持っている可能性のある数字を考えます。自分の手札と、場に出ているカード以外の全てです。すると、
1、3、4、5、9、10、11、14、15となります。
そのうち、1~5を持っている人はパスする可能性が非常に高いので、あまり考えなくてよさそうです。すると、
9、10、11、14、15
手札のカードは8ですから、ほぼ、小早川を味方にでき、8+6=14で勝負ができます。これは中々強そうです。
ちなみに、数字が同じだった場合、手番の若い人が勝利するルールになっています。僕の手番は最後なので、14か、15が出されると、負けてしまいます。
小早川と足して14は中々の数字ですが、残っているカードを考えると14か15のどちらかが出る可能性は、わりと高いかもしれません。ということで、勝つのはやや厳しいとイメージを修正します。
次は、個別の予想を立ててみます。
【Aさんについて】
Aさんは場の小早川が2の時に13を捨てました。場の小早川が2のままであると想定したなら、13はかなり強い数字です。
小早川が2の場合、低い数字のカードで小早川を味方にしても結局負けるので、高い数字のカードの勝負になりやすくなります。その中で、13は、2と足して15。誰かが15を持っていても引き分けです。
普通に考えると、そんな13を少し悩んで捨てたということは、手札に高めの数字を残した可能性が高いです。13より低い数字だと、小早川を味方につけても、15を出されると負けちゃいますからね。
ただ、実はここはもう1つ考え方があって、Aさんが13を捨てたというのは、はったりであるという可能性があります。最初の人は、小早川がどう変わっていくか想像がつかないので、運の割合が大きくなってしまいます。そこで、捨て札によって心理戦をしかけるのです。
つまり、捨て札で13を見せることによって、俺は高いカードを持っているぞ、小早川を変えた方がいいぞ、というプレッシャーをかけて、実際の手札は低めの数字を持っている場合があるということです。
13を捨てたのを見て、小早川が2なら、誰でも小早川を変えたくなりますからね。よーく考えると、Aさんが「小早川が2のまま残る」なんて甘いことを考えている方が、やや不自然なのです。
【Bさんについて】
Bさんは小早川が2の時、迷わず小早川を上書きしました。小早川が2で困るわけですから、手札のカードはそんなに高い数字ではないはずです。
Aさんが13を捨てたのを見て、高い数字はAさんが2枚ひいた可能性があると判断したなら、自分の手札をAさんより高くするより、小早川を少しでもあげた方が勝てる確率があがります。迷わず小早川に行ったことからも、14とか、15といった数字は持っていないはずです。
それでも勝負にコインは賭けているので、5以下ということもなさげです。とすると、9、10、11あたりで勝負にでてきていそう。これなら勝てるかもしれません。
【Cさんについて】
Cさんは小早川が6の時に手札をひいて、相当悩んで12を捨てました。これは判断に苦しむところです。12よりもぐっと低い数字で小早川を取りに来ているのか、もしくは15あたりで逃げ切りを図っているのか、読みきれません。
最後は、ギャンブル
ここまでの読みだと、AさんとBさんは勝てそうな気もするんですが、Cさんがなんとも不気味です。しかし、ここで尻込みするのはちょっとつまらない、ということで一発勝負にでます。みんなが賭けてる分、勝てば報酬もたくさんです! コインをチャリーンと、前に放りなげます。
このコインを賭ける感じがまた、なんとも楽しいんですよね。
それではいよいよ勝負です。
せーの・・・・
ドン!
Aさんが9
Bさんが10
Cさんが15
そして、僕が8+小早川の6で、14
残念! Cさんの勝利です!
Aさんの13はやっぱりはったりでした。小早川が変えられた時に、13はわりと中途半端な数字になる可能性があるので、一発かましたんですね。
Bさんはそれにまんまと乗って、小早川を変えました。手札はあまり高くありません。ここまでは読み通りです。
そしてCさん、高めで勝負に来ていました。小早川6に対して、15だと、9~14の数字に負けるのでわりと微妙なんですけどね。かといって、12も中途半端なところです。そこで、相当悩んだのでしょう。結果的に僕が8で勝負をかけてしまったことで、彼を勝たせてしまいました。
論理と、心理と、賭け
いかがだったでしょうか。プレイした後に、整理して書いているのでかなり細かく読みを入れていますが、現場ではここまでキッチリ読めていません。少なくとも僕は。残っているカードが何かというのは考えて、Aさんはったりっぽい、Bさんは大丈夫、Cさんが判断しにくい、で、エイヤッで賭けています。
人によっては、短時間でもっと深くまで読める人もいるのかもしれませんが。
15枚のダブりなしのカードというのが実にうまく機能していて、かなりゲーム中に手がかりがでて、読み合いになります。と同時に、それを逆手にとった心理戦が当然繰り広げられます。しかし、山札にカードが残っているので、どこかで運が絡みます。この論理と心理と賭けの組み合わせが絶妙のバランスなんです。
一方で、やることは結局手札をひくか、小早川を上書きするか。勝負するか、パスするかの2択だけ。なので、初心者でも楽しく戦えちゃうのが、またいいところです。
小早川のパッケージにかかれたキャッチコピーが「単純。でもない。」まさにそんな感じのゲームです。読み合いがあって、ブラフがかませて、際のところで運が絡んで「ウワーッ」てなります。これが短時間で全部くるから、ものすごく楽しい。1回終わると、またすぐもう1回ってなります。
ちなみに、小早川の意味ですが、関ヶ原の合戦の時に、西軍を裏切って東軍についたことで、徳川家康を勝利に導いた小早川秀秋のことだと思われます。なので、小早川が誰かについたことで負けた場合は「おのれ、小早川ぁ~」などと時代劇風に叫んでみるのがたしなみというものかもしれません。
というわけで、小早川のご紹介でした。「気になる、やってみたい!」という方は、ぜひネットカフェに足を運んでみてください。
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24時間遊べる、ネットカフェのボードゲームスペース作りました。
ちなみに、小早川楽しいので、みんなでコインじゃらじゃら持って遊べるようなイベントをちょっと考え中だったりします。乞うご期待!
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