僕は元々、ゲームの難易度選択というものが好きじゃありません。これは、個人的に好きじゃないだけで、ゲームの難易度選択というものは無くすべきだ、と主張したいわけではありません。ゲーム業界全体として考えれば、難しすぎて遊べないという人が減った方がいいので、必要なものだと思っています。でも、自分が遊ぶ時にはあまり嬉しくありません。どうしてかというと、ゲームをデザインした人間が最適だと考える難易度が分かりにくくなるからです。
例えば、イージー、ノーマール、ハード、とあれば、多分ノーマルがそのゲームの魅力を最も引き出す難易度なんだろう、と考えて、事前情報が無い限りノーマルを選びます。でも、それはあくまで多分の話であって、もしかしたらそうじゃないかもしれません。本当は、ハードぐらいの難しさが一番バランスいいと思っていたんだけど、その難しさで遊べる人はあんまりいないと考えて、マーケティング的に難易度を落として作ったのかもしれません。遊びやすいレベルの難易度をノーマルにしたけど、俺の本当の魂はハードで味わえるんだ、みたいな。僕は自分にあった難易度で遊びたいというより、そのゲームが一番楽しめる難易度で遊びたい、と考えるタイプです。易しいなら易しいなりに、難しいなら難しいなりでいいので、そのゲームの魅力が発揮される難易度で遊びたいのです。
プレイヤーが創意工夫して遊べる目的で、たくさんの選択肢があるゲームというのはすごく好きなんですが、どっちの方が面白いと感じて貰えるか判断が微妙なものについてプレイヤーに選択を委ねる、みたいなのが好きじゃないんです、難易度に限らず。あの、食べ物屋で、塩味と、バーベキューソースと、和風ソースがあります、みたいな時に、僕の好み以前に料理人はどれが一番美味しいと思って作ってるのか知りたいと、そんな感じです。
難易度調整課金型のゲーム
で、そんな時に難易度よりもむむ~んとなるのが、基本無料、いわゆるフリートゥプレイのゲームで、課金がゲームの難易度に関わってくるタイプのものです。スマートフォンのゲームアプリなんかで、タワーディフェンスのゲームなんかを遊ぶわけですよ。タワーディフェンスというのは、自分の陣地に防衛ユニットを配置して、敵の侵略を阻止するタイプのゲームですが、基本は無料で、課金すると防衛ユニットの強化ができるようになる、みたいなゲームがわりとあるんですね。
課金するのはいいんですよ、1,000円課金したっていいし、5,000円課金したっていい、最高に楽しいと思えれば10,000円課金してもいいんです。でも、体験したいのは、「何も考えずにユニットを配置したら負けちゃうけども、場所や、置くユニットの種類を精査したりして、効率よく配置していたらクリアできた」というゲームプレイなんです。5,000円課金したら適当に配置するだけで勝てちゃってつまらなくなった、は、嫌なわけです。
頑張ればクリアできる、という信頼
この話には逆もあります。僕は風來のシレンというゲームが好きなんですが、すごく難易度の高いダンジョンがあって、何十時間やってもクリアできない、そんなことがあります。おんなじダンジョンばっかり、ずーっと遊んでるわけですが、それが楽しめるのは上手くプレイすればクリアできるというゲームに対する信頼があるからです。なので、毎回やられる度に、今回はここがまずかった、次はこうしてみようと思える。そのプロセスが楽しめます。
課金で難易度が変わるタイプのゲームをしていると、そこも不安になるんです。これ結局課金しないと、苦行のようなゲームになっちゃうのだろうか、それとも頑張って工夫して遊べばクリアできるのだろうか、と。で、ゲームに詰まった時に、時間をかけてそこを突破するモチベーションがあまりでてこないことがあります。
楽しく遊ぶには課金指南が必要になる?
スマートフォンなんかのプラットフォームが大きくなってきて、フリートゥプレイのゲームが増えてきて思うのは、課金の仕方がゲーム体験と密接に結びついているということです。どうお金を払ったかということと、どんな風にゲームが楽しめたかというのが切り離せません。既にチラチラと見かけますが、そのうち、ゲームの楽しみ方というのに、どれくらいどのタイミングでお金を払ったらいいか、みたいな課金指南が欠かせなくなっていくのかもしれません。このゲームを楽しみたいなら、最初に3,000円程度課金するのがよいだろう、みたいな。
冒頭の難易度選択の話もそうなんですが、できればあんまりそこのところで迷わせないでくれると嬉しいなあと、思う次第でございます。
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