今日、業界も職業も違うんですが、働き方の近い人とお話してて、こんな話になりました。僕はライターを名乗ってますが、企画屋さんのお仕事もしています。企画というお仕事は中々理解してもらいにくい仕事です。で、分かりにくいなら一回説明しておこうと思いまして、今これを書いている次第です。
モノにしかお金を払いたくない
すごく多いのは最終アウトプットにしかお金を払いたく無いというお客さんです。デザインは、ビジュアルができあがるからそれにお金を払うのは分かる、ライティングは文章ができあがるからそれにお金を払うのは分かる、でも企画構成費ってなにそれ、適当に名前つけてお金取ろうとしてるだけじゃないの? みたいな。
ここまで進めばゴロゴロ転がり出すという地点
で、企画屋さんのお仕事って何をしているかというと、色んなものがフワフワしている段階、なんとなく困りごとはあって、なんとなく要望はあって、でもどういう形にしていいか良くわからない、そういう現場でお仕事します。
企画会議的なものを頻繁にする方は思い浮かべて欲しいんですが、プロジェクトって、ここまで話が進むと後はすんなり転がるっていう地点があると思うんですね。例えば、ある商品の販促カタログを作ろう、という場合に、ブレスト的に色んなアイデアは出るんだけど、みんなそれが実際カタログでどういう形になるか想像できない。
じゃあ何をするかというと、これまでの話を整理して、達成したい要件の優先順位を示して、捨てるアイデアと必要なアイデアを分けて、それを各ページの構成に落としこむとどうなるかを図案化します。表紙はどういうイメージで、1ページ目には何が来て、みたいなことを具体化するわけです。
最後にやらなきゃいけない作業と分担する人達を挙げて、大まかなスケジュール感を立てるところまでやると、後はゴロゴロゴロッと転がっていきます。
それがつまり、自転車をこぎ出すところの作業だと、そう思うわけです。こぎ出す時が一番力がかかるんですよ、その後ももちろん一生懸命こがないと失速しちゃうんですけど、最初みたいなパワーはいらなくて、安定的に両足を回していられれば大丈夫なのです。
さらに言えば、どっちにむかってこぎ出すかというのもすごく大事で、ここがしっかりしていないと、走りだした後にあっちいったりこっちいったりフラフラしたり、挙句の果てに遠回りして、別の目的についてしまったりすることもあるのです。
アイデアは手段の1つ
企画屋さんというと、何かアイデアを出す人みたいに思われるかもしれませんが、アイデアを出すというのは手段の1つで、企画が立てられれば別にアイデアを出さなきゃいけないわけじゃありません。どう作ったら分からない、なんて言われて現場に入って話を聞くと、本人達は気がついていないけれど実は既にパーツは揃っていて、それを整理して組み立てるだけで形になる、なんてこともよくあります。結局は、自転車が目的地にむかって力強く発進すればいいのです。少なくとも僕はそう思って仕事をしています。
ちなみに、ほとんどの場合、自転車が発進した後も、変な方向にいっちゃわないように舵取りの仕事が発生します。企画、プランニングとわけて、こちらの仕事をディレクションと呼んでます。directというのは日本語にすると、指揮、監督するなんて風に訳されるわけですが、道案内なんて意味もあるそうですよ。発進した自転車の道案内というわけです。
企画屋さんの役割
というわけで、企画・構成費というのは、目的地にむかって最初に思いっきりペダルを踏み込むためのお金で、そこで正しい方向に力強く踏み込めればその後とてもスムーズに目的地に到達できるのです、というお話でした。逆に言うと、色々面白げなアイデアは出すけど、それによってプロジェクトを進めることができない人は、企画屋さんではない、プランナーの役割を果たしていない、と思ってます。そういう人はなんて呼ぶんでしょうか、御意見番ですかね。