日本の洋ゲー市場の現状ってどんな感じなんだろうか、ぶっちゃけ儲かってる? そんな疑問を、洋ゲーを10年以上ローカライズし続け、先日もXbox 360用のFPSタイトル、メトロ2033を発売したばかりのスパイクの方にインタビューをして、先日AllAboutゲーム業界ニュースで記事にしました。
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洋ゲーは儲かるのか、スパイクに聞いてみた。(AllAboutゲーム業界ニュース)
このインタビューでは、洋ゲーがどのくらい売れると商売になるのかとか、PS3で洋ゲーの市場が伸びてきているだとか、かなりリアリティのあるお話を伺えました。
今回はその続き、ということで、もう少し詳しいお話、例えばPS3で何故洋ゲーが伸びてきているのか、みたいなところに突っ込んだところを聞いてみたいと思います。上記リンクの記事とあわせて読んでいただくといいかもしれません。
お話を伺うのは、AllAboutの記事に引き続き、
海外グループ マネージャー 飯塚 康弘さん
営業部 部長 雪田 幸司さん
ということで、洋ゲーを日本に持ってくる担当の方と、国内の販売の現場の担当の方のお2人です。
PS3で洋ゲーが何故伸びているのか?
田下:AllAboutに引き続き、よろしくお願いします。
飯塚・雪田:よろしくお願いします。
田下:日本の洋ゲー 市場は伸びてきている傾向があって、しかもそれはPS3で市場が成長している、というお話をいただきました。でも、洋ゲーと言えばXbox 360という感覚の人も多いんじゃないかと思うんですね。で、PS3で洋ゲーが伸びてきている要因というのは、どのようにお考えなんでしょうか? もちろん、ハードの普及台数が伸びてきているということはベースとしてあるんだと思うんですが。
飯塚:Xbox 360のユーザーさんっていうのは洋ゲー、和ゲーっていうのを区別して考えているように思うんです。でも、PS3のユーザーさんはあんまり気にしていないかもしれません。
例えば、Xbox 360ユーザーさんは自分でアンテナ貼ってる人が多くて、欲しいゲーム探して、それがネットの情報だったり、洋ゲーだったら海外の評判だったりすると思うんですけど、PS3のユーザーさんって、アンケートなんかをみてみると、店頭で見つけて購入したりとか、店頭動機も流れてた映像が面白そうだったからみたいなものが結構あるんですよ。
洋ゲーファンとか和ゲーファンと言うよりは、ゲームファンっていうもう少し大きい枠なのかなと。
田下:Xbox 360のユーザーさんはかなり調べた上での指名買いが多いけれど、PS3のユーザーさんだともう少しゆるくというか、店頭で見かけて面白そうだから買うみたいな人もそれなりにいて、その分層が広がっている、と?
飯塚:そうですね。それに昔の、洋ゲーイコール不親切だとか、ロードが長いっていうのはもうなくなってきていて。プレイしてても、逆にこんな細かいところまでってぐらい手をかけてきてるので。そうすると今までみたいに、洋ゲーはコアユーザーだけっていうのは、既に過去の話になっていると思います。
洋ゲーを出すタイミング
田下:もうひとつ、詳しく伺いたいことがあってですね。洋ゲーは発売時期が非常に重要だ、ということで、全体のパイが小さいので他のタイトルとできるだけ重ならないように出さなければいけない、と。
で、そういうタイミングの話と共にですね、ゲームの流通商談会(ゲームメーカーが発売前のゲームを流通関係者に紹介する場)なんかを拝見しているとオリジナルの発売からできるだけ早く日本版を発売しようとする動きが大きくなってきている気がします。ここら辺は、マーケティング的な視点があってやっぱり早い方が売れるみたいなことがあるんでしょうか?
飯塚:ジャンルによると思うんですけど、うちで出したセイクリッド2なんかは、北米発売後、9ヶ月くらいしてからの発売だったと思います。
雪田:あれは僕らも驚くぐらい伸びて、PS3で4万7,000、Xbox 360でも2万5,000くらい出てるんですよ。タイミングが良くて、洋ゲーのFPSが飽和状態になっている一方でRPGはまだそんなになかった。でも、 やっぱり日本人はRPG好きなんですよね。オブリビオン、フォールアウト3と来て、次のRPGってところにうまくはまりました。
飯塚:RPGは他のジャンルと違い、物語が売りのゲームなので、語学力がないと海外版を100%楽しむことは難しいと考えています。一方で、レースとかスポーツものってやろうと思えば言葉が分からなくても十分楽しめちゃいますよね。FPSも最近はシナリオが凝ったのが出てきてますけど、でもまあ十分楽しめるジャンルだと思います。
それに、オンライン対戦が売りのタイトルの場合は、ユーザーさんも海外のプレイヤーと同時にはじめたいっていうのもあると思うんですね。なので、FPSなんかは早いタイミングでローカライズした方がいい結果に繋がる傾向があります。
田下:全体のマーケット規模からすると、ジャンルによっては輸入盤の影響がかなり大きいということなんですね。
雪田:うちなんかも、FPSなんかに関しては販売タイムラグを短くすることをすごく意識してますし、また、秋葉原の海外輸入盤を売ってるところに、どれくらい売れてるかとか、どのくらい売れると思うとかって話をヒアリングしたりもしています。
洋ゲーのローカライズはいつきまる?
田下:ちなみに、そうやって早い展開を目指すとなると、具体的にはどういうタイミングで動いていくことになるんでしょうか。
飯塚:今だと、短くても日本の発売から5ヶ月前くらいからローカライズをはじめます。当然その前に契約関係があるので、半年以上は前から動くことになります。色んな会社さんが最近は買って行くので、早め早めに手を打つようになってますね。
田下:その状況で出来る限り海外との販売タイムラグを無くすというと、海外ユーザーの評価が高いものを、みたいなことはできなくなってきているということですよね?
飯塚:そうですね、発売した後のユーザーの評判でっていうのは今はもうないですね。半年前ぐらいには動くものがあるので、それを見て、コンセプトを理解したうえで、うちで手を出す出さないっていうことを決めると。
田下:半年っていうと、年末商戦のものがちょうどE3のあたりっていうタイミングになりますか?
飯塚:E3ではもう買い付けっていのはないですね。E3は進捗を確認しに行くっていう感じです。
メトロ2033 弾丸がお金の世界
田下:前回、AllAboutでメトロをご紹介したところ、僕のTwitterアカウントなんかにメトロ面白そうだから買ってみます、なんて声もいただいたりしております。最後に、ちょっとメトロのオススメポイントなんかも。
飯塚:やっぱり、ロシア小説という原作があるゲームなので、とてもストーリーラインがしっかりしています。弾丸がお金という世界設定なので、ミュータントがきたからって撃ちまくるとお金無くなっちゃうので、物陰に隠れてすすんだり。
あと、ガジェットが意外と凝っていて、手動式の発電機とか持ってるんですよ。地下鉄を進んでいくので真っ暗なんですね。で、ヘッドライトをつけてるんですが電気が減ってくると暗くなってしまうんです。そこで、発電機でガシャガシャやって充電したりとか。
田下:そこら辺の凝り方は面白いですよね。ガスマスクのメーターも、ゲーム的なゲージが表示されるんじゃなくて、腕時計についたメーターを実際に見て確認するとか、ゲームの進行も、きちんとメモ帳を手に持って、それをライターで照らして読むとか。
飯塚:開発の4A Gamesはこれが処女作になりますが、S.T.A.L.K.E.R.(ストーカー)シリーズという、評価の高いFPSを手がけたスタッフが独立したスタ ジオです。オンラインはありませんが、その分ガッチリ作りこんであるので、是非メトロの世界にドップリはまってもらいたいとおもいます。
田下:本日はありがとうございました。
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