結チャンネル人狼 #23「魔法都市のイトキチ村」解説 祭壇がもたらしたもの

 

がおー! がおがおー! ゆるふわ砂糖菓子人狼トリオ、EATのTことライターの田下でございます。がおー!この記事は2018年7月14日配信の『結チャンネル人狼 #23「魔法都市のイトキチ村」』の田下視点による振り返り記事です。ネタバレはもちろん、もしかしたら観ているだけでは分からない参加者の考えなんかも書くつもりすので、まだ動画をご覧になっていない方は、まずタイムシフトでご視聴いただくことを強くオススメいたします。

 

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結チャンネル人狼 #23「魔法都市のイトキチ村」

 

先に、記事を書いた経緯など。僕は本業であるところのEATの傍ら、AllAboutゲーム業界ニュースというところでゲームの記事を書いておりまして、たまに人狼記事などもあげております。いわゆるリプレイというんですかね、人狼ゲームの振り返り記事なんかも書いたことがあるので、5月に結チャンネルに出演した際、結さんに「今回の人狼を記事にしていい?」といったらどうぞどうぞと言われたので、先日その記事を書きまして。

 

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そしたら、今度は7月7日に出演したアルティメット人狼チャンネルでも、書いて欲しいと、こちらは僕の提案ではなく、程よく酔っぱらったイシイジロウさんから振られまして。イトキチ村でも自己紹介の時にチラッと言いましたが、この時の出演で僕はとんでもなくタオッてるので、それを記事にするって地獄のような話でしたが、それでも書きました。

 

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で、それらを読んでいただいた方が、コメントで直接、今回のも書いて、と言ってくださったので、「魔法都市のイトキチ村」も記事にすることにしたと、こういう流れでございます。いずれもノーギャラでございまして、結さんあたりがその辺のことをだいぶ心配してくれています。

 

僕は本当に嫌だったら断るだけなんで心配していただかなくていいんですが、せっかくなのでみんなが幸せになるシナリオを先に書いておくと、みなさん読んでいただいて、面白がってくださったら、そのうち掲載したいメディアがあらわれてそこから原稿料をいただけるというのが、全員ハッピーなんじゃないかと思う次第でございます。僕の個人ブログに掲載するよりもチャンネルの宣伝にだってなるでしょう? だから、各関係者の皆様方、人狼のことでメディアと会った際には、人狼に詳しい田下というライターがいてね…という話をふって記事の紹介などしていただくと幸いでございます。

 

というわけで、書いていきましょう。3試合あるうちの、どれを振り返るのか、番組内でアンケートしていただきましたところ、僅差で3試合目を希望する人が多かったので、3試合目を書いていきたいと思います。僕の唯一の負け試合ですけどね! 勝った試合をドヤ顔でかかせてくれよう! くっそー! 今回もすごく長くなります、何度か書いてよくわかりましたが、きちんとみんなの動きを追って解説するとどうにも短くはできないですね。バサッと切って読みやすくすることも検討しましたが、5時間近い動画を観て、さらに解説も読みたいという人の為の記事ですから、きちんと追ってあった方がよいと判断しました。というわけで、今回も壮絶に長いですが、それでも良いという方はお付き合いくださいませ。

 

 

1日目 人狼勝利のピース

 

3試合目はなかなか面白い試合でした。魔法都市の人狼の面白いところと、人狼ゲームの難しいところが際立っていた試合だと思います。しかも、その全ては初日に終わっていました。初日が最重要で、初日でゲームは終わり、そして、初日に人狼は勝利していました。初日超注目です、なのでとても長くなります。

 

作戦ということで、ケルヴィンさんがニョッキゲームを提案します。ニョッキゲームをして、ニョッキが被った人が処刑対象。実はここでちょっと作戦の説明が足りていないんですが、被った人が4人で終了、残った人は占い対象ということでした。残ると占い対象になるという話は、人狼に心理的なプレッシャーをかける意味では非常に重要な情報なはずなんですが、そこがゲーム終了時に告げられる形になってしまったのは残念でした。というのも、ここで残っていた2人は飴猫さんと朝井さん、2人とも人狼なのです。

 

ニョッキが被ったのは、のりたまさんとえいきちさん、寺岡のぞみさん(以下のぞみん)と、ケルヴィンさんの4人。のぞみんは何度も微妙なかぶり方をしていて、そのたびに自己申告してましたね。これは、狼っぽくもなければ、役職者っぽくもないです。そしてこのことを、えいきちさんが早い段階で指定しています。えいきちさんが早めに指摘したことは大変重要で、人狼もしくは狂人であれば、この行為は自分の首を絞める行為です。もちろん、わざと自分の首を絞める行為をすることによって村人らしくなるというテクニックもありますが、えいきちさんがそれをしたかどうかという点はきちんと考える必要があります。

 

またこの時、飴猫さんが、のりたまさんが怪しいのでのりたまさんにニョッキを被せようとしたけど失敗した、という話をしれっと披露しています。僕はこの話を聞いた時に、のりたまさんの白黒よりも、飴猫さんが白くなったなとやんわり思っていました。人狼ならニョッキを被せにいくのは危険だからですね。しかもその話を自分の村人アピールとしてではなく、のりたまさんを疑う根拠として出すあたりがまた村人っぽい。ですが、飴猫さんは人狼なので、この時点ですでに分かる人にだけ分かる村人アピールを撒いていたことになります。周到な男ですねー。

 

のりたまさんは飴猫さんに疑われたものの、その後、これまでの2戦でカードの効果で死んでいることから「カード効果で死んでほしい気もする」というような冗談交じりの会話にのって処刑対象から外れようとします。この行動はかえって怪しまれましたね。冗談みたいな会話の流れでしたが、のりたまさんのこの行動は、結構尾をひきます。

 

ここまできて、朝井さんが別の話をふります。朝井さんは人狼なわけですが、これもすごくうまいですよ。ニョッキで被った人たちは普通にニョッキゲームをプレイした人で、対して、みんなの虚を突く形でニョッキを巧妙に抜けた人の方が怪しいんじゃないか、という意見を出します。それが、川崎さんと結さんでした。朝井さんの話は確かに納得がいきます。しかし、結さんも川崎さんも村人なんですね。さらに言うと、投票対象となっている4人の中にも人狼はいないんです。なのに朝井さんはわざわざ投票対象の人から視線を逸らす意見を言いました。

 

おそらく、後になって投票対象の中に人狼がいないとばれた時、朝井さんはあの時自分は投票対象以外に話を振っているんだから、村人らしい行動をしている、とアピールするつもりだったんじゃないでしょうか。これで、投票対象の4人から処刑されてもおいしい、朝井さんが挙げた2人にずれてもおいしい、ということで人狼にとっておいしいおいしいルートを設置した朝井さんでした。めちゃくちゃうまいです、さすがはEATの高性能なA。

 

ここでえいきちさんが占い師カミングアウト、初日に知っていた村人をのぞみんだと言って、のぞみんを投票対象から下げます。ただ、これは村人からするとちょっと遅いカミングアウトに見えますね。自分だけならまだしも、自分の知っている村人まで投票対象であるなら、早めのカミングアウトをした方が自然に思えます。ただし、えいきちさんはのぞみんを早い段階で、かなり説得力のある理由をつけて庇ってもいます。カミングアウトが遅い本物か、いざとなったらカミングアウトするための準備をしていた周到な偽物か、わりと真偽が難しい位置にいったと思います。

 

その後、結さん、川崎さんが代わりに投票対象になり、検討が進みます。しばらく時間が経ってから、思い立ったようにピカクロスさんが占い師カミングアウトをします。すると、即座に朝井さんもカミングアウト。この時朝井さんは「やった! 私が予言です! めっちゃ我慢した!」と言ってます。これもうまいです。朝井さんとピカクロスさんの真偽を判断する情報として、なぜえいきちさんのカミングアウトから間を開けたのかという質問は村人からされる可能性が高いです。朝井さんはカミングアウトと同時に、時間をかけた理由を説明しているわけです。もう1人偽物が出るまでめっちゃ我慢していたんだ、と。

 

2人の結果は、朝井さんがぽんちゃんに村人判定、ピカクロスさんが朝井さんに村人判定。ピカクロスさんは思い切りましたね。えいきちさんが人狼で朝井さんが真占い師だったら、ご主人様を殺しに行く結果です。朝井さんはかなりいい出かたをしていたので、真占い師の可能性も十分にあったと思います。しかし、ピカクロスさんは賭けに勝っていました。人狼の朝井さんに村人判定を出したことで、人狼側から真占い師が分かり、人狼は戦略的な投票をすることができるようになりました。

 

さあ、投票です。えいきちさんが非常に難しい状況に立たされます。カミングアウトのタイミングがどうしても遅く見えるんですね。一方で、朝井さんはカミングアウトのスピード、パワー、タイミング、ばっちりで、即座にカミングアウトタイミングの説明まではさみこんでいます。おまけに、議論では人狼に話が向かわないようにしつつ建設的に見える意見も出しています。動画で改めて見直しましたが、本当にうまい、人狼の教科書のようです。僕はえいきちさんに隙はあったものの、きちんとのぞみんを庇っていたので、そこまでマズイ行動をしているとは思いませんでした。しかし、相手が悪かった。

 

ピカクロスさん、朝井さんの人外コンビに続いて、結さん、ぽんちゃんと投票してえいきちさんに4票。えいきちさん絶体絶命です。ちなみに、えいきちさんが入れたのがピカクロスさんで、朝井さんは投票が入っていません、えいきちさんの状況が相当不利になったことで、人狼に余裕が生まれます。ここで飴猫さんが朝井さんに票が入っていないことを理由に、朝井さんに投票します。この1票が後で村に重く重くのしかかります。

 

入れられた朝井さんが即座に「占う!(怒)」と言ってますが、人狼同士の子芝居です。とにかくこの人たちは、自然な動作の中に嘘をすべりこませていてうまいです。また、飴猫さんは、朝井さんに入れる時の説明で「朝井さんが狼だった時に、ピカクロスさんが破綻して、えいきちさんが真占い師になる」という説明をしています。これは、えいきちさんからすると、願ってもない話で、飴猫さんは完全に味方に見えるんじゃないでしょうか。もし、えいきちさんが処刑から逃れても、滅多なことでは占い位置にはこないという保険ですね。

 

しかし、ここで飴猫さんの1票が呼び水となり、朝井さんに2票ぽんぽんと入り朝井さん3票。その後、挙動から怪しむdaiさんと僕の票がピカクロスさんに入ってピカクロスさんも3票。ピカクロスさんと朝井さん3票で、えいきちさん4票と1票差、ということで狼にとってもヒヤッとする形になります。ここで HYBRID SENSEさん(以下ハイブリさん)がピカクロスさんに投票。ハイブリさん相当難しい場面で票を握りましたね。ハイブリさんを含め残り3票という場面、ハイブリさんは狼なので、ここでえいきちさんに入れると、朝井さんの単独処刑が無くなって最悪でも決戦投票というタイミングです。しかし投票はピカクロスさんです。結果、残り2票の状態で、えきちさん4票、ピカクロスさん4票、朝井さん3票、逆転がある票差になります。飴猫さんの1票目と違って、ハイブリさんの投票は朝井さんを見捨てかねない投票でした。それだけに、通れば強いですよ。

 

そしてそれは通りました。残りの村人2人、のりたまさん、ケルヴィンさんの2人がえいきちさんに投票し、結果えいきちさん6票で処刑となります。騙りでカミングアウトした狂人と人狼は真占い師に投票。潜伏した人狼2人は、狂人と仲間の人狼にわけて投票という、人狼陣営完璧な投票で初日を終えます。しかし、人狼陣営勝利のピースはまだ、8割程度です。残りの2割、最後のピースは、実はえいきちさんがもたらします。

 

今回の人狼は「魔法都市の人狼2」を使っています。魔法都市の人狼では、処刑された人がイベントカードを2枚ひくことができ、そのうち1枚を選ぶことによってさまざまな効果が村にもたらされます。本来であれば、初日に処刑された真占い師なんて最悪なわけですが、イベントカードによってチャンスがあるわけです。処刑されても楽しめる人狼になっているわけで、非常によくできていると思います。

 

えいきちさんがひいたカードは「祭壇」のカード。効果は「この夜以降、死亡したものは役職カードが公開される」。つまり、死亡者が村人だったのか、人狼だったのか、霊媒師だったのか、そういった情報が公開されるいわゆる「オープンルール」になった、ということです。えいきちさんはこのカードによって、残りの2人の占い師が偽物であると証明でき、村を勝利にもたらすことができると考えました。祭壇は極めて強力なカードです。狼側は嘘をつくのが大変に困難になるでしょう。何しろすべての嘘は後からゲームマスターによってばらされてしまうのです。

 

おそらく、現場にいた誰もが、村人有利の強力なカードをひいたと思ったでしょう。僕もそう思いました。動画で観ていた多くの人もそう思ったんじゃないでしょうか。

 

しかし、それは狼に嘘をつく必要がある場合に限ります。えいきちさんがもたらしたカード「祭壇」は、人狼勝利を確定させる最後のピースでした。

 

 

2日目 炙り出された霊媒師

 

襲撃者はぽんちゃん。ぽんちゃんはカードの効果で村人と分かりました。村人というのは、いわゆる白判定ということではなく、能力のない村人、素村ですよ、という情報です。

 

ここで実は裏役職(そんなものはありません)、川崎さんの「死神」がすでに発動していて、川崎さんの周りから人が死にはじめていきます。センター死神wwwwwwwwwww

 

真面目な話をしましょう。朝井さんとピカクロスさんが飴猫さんを占っていて、どちらも村人判定。ここでの朝井さんの飴猫さん村人判定は、とても効果的でした。ぽんちゃんが素村だったことから霊媒師が生き残っていると分かるので、今日はえいきちさん村人判定で、ピカクロスさん破綻で処刑確実。その時点でピカクロスさんが狂人であることがゲームマスターから告げられ、朝井さんが狼であることもばれてしまいます。

 

とすると、翌日は狼とばれている環境で占い結果を出さなければならず、その時、飴猫さんを占うと村人から挙動をしっかり観察されて検討されます。また、朝井さんに投票している飴猫さんをいつまでも占わないのも、おかしな話でやはり疑いの種になりそうです。昨日の子芝居もあり、とても自然に飴猫さん村人判定を出して、翌日に備えた形を作れました。

 

議論に入ると、ケルヴィンさんが「霊媒師はえいきちさんが狼でない限り出なくていいんじゃないか」という提案をして、これが村に了承されます。しかし、会話の拍子でのりたまさんがdaiさんに「霊媒師なんじゃないの?」と発言したことで、結局daiさんが霊媒師カミングアウトしてしまいました。

 

これは2人ともうかつな行動でしたね。まず、のりたまさんは霊媒師を探すような発言が、それが本人からすると冗談だったとしても、村にとって不利益だということを理解していませんでした。言われた人間が、肯定しても、否定しても、人狼から霊媒師が透けやすくなります。そしてdaiさんは「霊媒師じゃないの?」と言われたことで、狼にばれているかもしれないと判断してカミングアウトしましたが、これも必要ありませんでしたね。以後、処刑された人の役職は公開されるので霊媒師の能力は村に必要なく、また、襲撃で死んだ場合もやはり霊媒師であることが公開されることで乗っ取りの危険もありません。すっとぼけていればいいだけなのです。

 

今回の霊媒師は確定の村人が潜伏できるという存在なので、終盤にカミングアウトして、人狼候補を減らすというのが良い使い方だったように思います。すべての死亡者の役職が公開されている状況では、人狼は霊媒カミングアウトを否定するには対抗するしかないのです。結果的にですが、この出来事は村をかなり不利な状況に追い込んでいきます。

 

daiさんがカミングアウトして、えいきちさんは当然村人判定、この日は破綻したピカクロスさんが全ての票をもらって処刑されます。ピカクロスさんがひいたイベントカードは「金鉱」。翌日処刑された人が、イベントカードを2枚多くひけるというカードです。あまり悪いカードがひけなかったんでしょうね。ピカクロスさんは狂人なので、これが発表されると、えいきちさん真占い師、朝井さん狼が確定し、翌日朝井さんが処刑されることを想定しての選択でした。

 

ピカクロスさんは遺言でのりたまさんに対して「なにかもっている」と怪しんで死んでいきました。狂人の推理なんですが、「のりたまさんは狩人だ」という人狼へのメッセージだったんですね。狂人でも推理力で仕事をするのが、ピカクロスさんらしいと思います。

 

 

3日目 朝井さんは見ていた

 

襲撃されていたのは真占い師えいきちさんから村人判定をもらっていたのぞみん。朝井さんの占い結果はのりたまさん狼判定ですが、もう人狼とばれるのが分かっていて朝井さんは狼を出しているので、それを考慮に入れる必要があります。

 

繰り返しになりますが、ピカクロスさんが狂人だったので、えいきちさん真占い師、朝井さん狼確定。朝井さんを処刑したいところですが、ピカクロスさんがひいたイベントカード「金鉱」のせいで本日の処刑者はイベントカードを4枚引くので、確定人狼である朝井さんをさけて、占い判定をもらっていないいわゆる「グレー」から処刑者を選ぶことになりました。

 

狼から見て「えいきちさん真占い師」が初日に露見していますから、当然えいきちさんに票を入れた人が怪しいということになります。それがのりたまさん、ケルヴィンさん、結さんの3人。そしてここに人狼はいないわけですが、この時点でそれを推理をするのは相当に難しいですね。

 

この3人の状況を見ると、初日に処刑対象の4人を外して人狼の朝井さんから疑いをかけられたのが結さんと川崎さんで、朝井さんがこの時点で雑に仲間を売っていなければ、結さんは村人に見えます。のりたまさんは初日の投票が12番目で、えいきちさんに投票し、この時点でえいきちさん5票、ピカクロスさん4票、朝井さん3票で、朝井さんを処刑対象からはずす票でした。その後ケルヴィンさんがえいきちさんに重ねたんですね。ケルヴィンさんが狼だとすると、むしろ朝井さんに投票した方が、真占い師も処刑できて、自分も疑われにくい、より良い行動に思えます。

 

また、行動としてものりたまさんは、初日に処刑対象から逃れようとしたり、daiさんに「霊媒師じゃないの?」と言ったり、怪しげな行動をしていることからも、疑われやすくなっていました。そこで票が集まるんですが、ここでのりたまさん、痛恨のミスを犯します。

 

「決選投票にして」と言うんですね。というのも、のりたまさんはピカクロスさんの推理通り狩人だったのです。しかしここは「決選投票にして」が通用しません。なぜなら朝井さんがいるからです。村人が決戦投票にしようとしても、確定人狼の朝井さんが覆すことができるんです。察しのいい朝井さんは、この時心の中でガッツポーズでもしてたんじゃないでしょうか。当然、のりたまさんの処刑が確定するタイミングで票を入れに行きます。

 

そして、のりたまさんが処刑されました。のりたまさんは、議論中にカミングアウトして良かったですし、遅くとも投票時にカミングアウトするべきでしたね。

 

のりたまさんが引いたイベントカードは「墓地」。「占い師は即座に死亡します」というカードですね。真占い師のえいきちさんはすでに処刑されているので、実質的な効果はありません。

 

 

4日目 不穏な空気

 

襲撃はdaiさん。狩人がいなくなったことで、人狼はリスクなく霊媒師が襲撃できた形です。

 

処刑は確定人狼の朝井さんですが、この日は非常に難しい議論になります。

 

えいきちさんに入れているケルヴィンさんと結さんは当然人狼の可能性があります。ケルヴィンさんと結さんが2狼じゃなければ、初日ピカクロスさんに入れた僕とハイブリさんも候補にあがります。初日朝井さんに入れている川崎さんと飴猫さんをどうみるか。飴猫さんは初日、仲間に投票をすることは十分あり得る人ですが、あり得るだけで怪しい要素ではありません。

 

色んな要素を拾ってはみますが、決定打となるものは見つかりません。この日は確定人狼の朝井さんに全票が入って処刑となります。後から聞いたことですが、朝井さんはこの日、破綻しながらも、おいしいと思っていたようです。なぜなら、破綻したので堂々と悪いイベントカードを選べるからです。えいきちさん処刑の時にもお話しましたが、処刑も破綻も、最悪の結果ではないのがこのゲームの良いところですね。朝井さんは、破綻したらしたで、悪いカードひけるからいいなと思っていたようです。この日の朝井さんはずいぶんと余裕たっぷりでしたね。

 

しかしそんな朝井さんの思惑通りとはいかず、あまり悪いカードはでなかったようです。朝井さんが選んだカードは「狐人の館」で、この日の夜、第三陣営や狂人はいかなる理由でも死亡しない、という効果でした。この村に第三陣営は存在せず、狂人はすでに死亡していたため、実質的な効果はありません。朝井さん悪いことできず残念そうでしたねー。

 

 

5日目 分かれば分かるほど分からなくなる

 

襲撃を受けたのは死神川崎さんでした。自分の周りがジワジワいなくなっていき、最後に自分も消えるという、見事な死神っぷりでしたね(そんな役職はありません)。

 

さて、最終日なんですが、これ、村は思いのほか大変に厳しい状況になっていたと思いませんでしたか? 「オープンルールなのにきつくね?」というコメントが流れていましたが、実際には、オープンルールだからきついのです。

 

というのも、初日を別にして、2日目は全員ピカクロスさんに投票、3日目は結さん、ケルヴィンさん、のりたまさんで割れてますが、この中に人狼はいないため、そこからの推理は不可能。4日目は全員朝井さんに投票で、実は投票行動から推理しようとしても情報は1日目しかないのです。そして、1日目は飴猫さんは人狼朝井さんに投票し、ハイブリさんは狂人ピカクロスさんに投票しています。この、狂人と人狼に投票したという事実も、オープンルールなので1点の曇りなく証明されてしまいました。

 

この状況下で、2回連続狼を処刑できなければ村の負けです。これが人狼ゲームの極めて難しいところなんですね。時々普通の人狼でも、例えば「確定村人の投票に全て従ってください」というような指示を出す人がいます。しかし、それがたとえ論理的に正しくとも、村人が全員機械的に行動すると、潜伏狼も同じように行動すればいいだけなので、狼の思惑を拾うことがかなり困難になることがあります。今回は、カードの効果で村人の投票行動が均質化されてしまったせいで、狼を見つける情報が極端に減ってしまっていたのでした。

 

しかも、えいきちさんに村人判定をうけたのぞみんは3日目に襲撃され、狩人ののりたまさんは3日目に処刑、霊媒師のdaiさんは4日目に襲撃。祭壇の効果でその存在が保証しやすく、切り札になるはずの確定村人は誰1人生き残ってはいませんでした。

 

僕の視点から言うと、初日、朝井さんに投票した飴猫さん、ピカクロスさんに投票したハイブリさん、どうせえいきちさんを処刑できたのだから朝井さんに投票してもよかったのにあえてえいきちさんに入れたケルヴィンさん、えいきちさんに投票したけど朝井さんから疑われていた結さん。誰もが村人の可能性があり、人狼の可能性がありました。

 

つまりこれは、村人は潜伏に失敗し、人狼は潜伏に成功した、そういう状況なのです。

 

ケルヴィンさんの視点では、結さんを村人と置いて、僕とハイブリさんと飴猫さんの中に2狼。僕を疑っていましたが、結さんが僕よりもハイブリさんを疑ったことからハイブリさんに投票。ハイブリさんは入れ返す形で結さんとケルヴィンさんを疑って、ケルヴィンさんに投票。

 

この時僕が何を考えていたか。まず、誰か1人は信用しないことには推理のたてようがないと思っていました。誰にも人狼の可能性があるのはそうなんですが、それでも、やや博打気味にでも、誰かを信用しなければ、組み立てようがありません。

 

その中で、飴猫さんが狼だとするとほぼ勝ち筋が無いと判断しました。ハイブリさんとケルヴィンさんが入れあっているなかで飴猫さんに投票して、この日、飴猫さんを処刑できるビジョンが浮かびませんでした。次に、もし結さんと飴猫さんが狼だとしたら、ケルヴィンさんとハイブリさんが入れあった時点で負けです。結さんが村人だとしても、僕と結さんが村人に投票したらもちろん負け、僕と結さんの票がケルヴィンさんとハイブリさんで分かれても飴猫さんにとどめ刺されて負け。

 

そして、ハイブリさんとケルヴィンさんどちらかが狼だとしても、どっちが狼であるかの決定打はないときています。結局そんな状況で僕と結さんが2人とも人狼に投票できなければ負けなのです。イチかバチかで賭ける必要があるにしても、あまりに分が悪い勝負に思えました。

 

飴猫さんを村人と置くと、ケルヴィンさんとハイブリさんと結さんの中に2狼。村人を処刑すれば勝ちという状況で、ケルヴィンさんとハイブリさんが入れあっていることから、この2人が人狼同士の可能性は低く、残り1人の人狼位置は結さんになります。

 

この説明をした後、僕が結さんに入れると、結さんが狼だった場合、村人に入れて飴猫さんが間違えるのを祈るのか、人狼仲間に入れて翌日ラストウルフとして勝ちに行くのか、相当迷うはずだと思いました。一方、飴猫さんは、僕が飴猫さんに票を託したことで僕を信用してくれたとしたら、結さんを処刑すればかなり高い確率で狼を処刑できるということになります。

 

……という勝ち筋を説明していて大変にむなしいんですが、実際には飴猫さんが人狼なので、この作戦は全く無意味に終わりました。結さんが僕に投票し、飴猫さんが決定権を握ったことで、ケルヴィンさんが処刑されて人狼の勝利です。

 

ちなみに、結さんが最後僕に入れたので、コメントで結さんは村人だったら票を投げちゃダメ、という意見が出てましたが、僕からするとそれは微妙かなと思います。僕が結さんを人狼とする行動をとったため、村人である結さんは選択肢がほとんどなくなりました。

 

結さん視点で、飴猫さんを人狼と疑えたとして、どういう行動がとれるでしょうか? 飴猫さんに投票してももちろん処刑できません。ハイブリさんに投票したとしても、飴猫さんがケルヴィンさんか結さんに投票して決戦投票です。僕が飴猫さんを信用するしかないと宣言している以上、決戦では僕が飴猫さんの票に追随して村が負けると考えるはずです。

 

結局のところ、飴猫さんが人狼の場合は、僕と結さんが2人とも人狼に投票する状況が作れなければ負けなのです。そして僕が飴猫さんを信用する作戦をとったため、結さんにはそれを覆す方法がありませんでした。となれば、結さんも飴猫さんを信じて票をならすくらいしかできることがないのです。つまり、決定的な場面で間違えているのは僕で、結さんはそのせいで苦しい投票をした村人ということになります。

 

 

 

人狼の初日は完璧で、完璧ゆえに、村人にとって最強クラスに強いカードである祭壇までも味方につけてしまいました。

 

ピカクロスさんのカミングアウトに続いて即座に騙りをした朝井さん。朝井さんに村人判定を出したピカクロスさん。朝井さんに票を入れた飴猫さん、ピカクロスさんに票を入れたハイブリさん。上手でしたね。祭壇は人狼陣営の見事さを証明し、彼らはそれ以上不自然な嘘をつく必要がありませんでした。村人は、祭壇の効果によって結果が分かれば分かるほど、真実は分からなくなる、人狼ゲームは本当に難しいですね。